「我々は気づいたら◯だった展」
2026.04.01–2026.04.07
AVA artist-run-space(東京都台東区)
古山寧々
1999年岐阜県生まれ。
2025年多摩美術大学大学院美術研究科修了。
その後1年間、東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所 瀧ノ上研究室に研究員として滞在し、作品制作およびバイオアートに関する研究を行った。
2026年より、早稲田大学大学院先進理工学研究科 電気・情報生命専攻 博士後期課程に在籍し、美学と科学を横断する表現について研究している。
「人間と非人間の関係性」「非人間から見た人間」をテーマに、キネティック表現やバイオアートを中心とした制作を行なう。
幼い頃から生き物や「動くもの」に惹かれ、「人間以外の存在はどのように世界を知覚しているのか」「生命と非生命の境界はどこにあるのか」という問いに関心を持ってきた。
その関心から、電子工作を用いたキネティックな表現やバイオアートへと制作領域を広げている。
また、人間が他の存在をどのように認識し、意味づけ、鑑賞しているのかを問い直し、人間だけを基準にしない知覚や鑑賞のあり方を探究している。

Activities / Background
Exhibitions
2026.04.01–2026.04.07
AVA artist-run-space(東京都台東区)
2025.12.18–2025.12.22
早稲田大学 西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
2025.10.25
壱岐の島(長崎)
2025.07.11–2025.07.13
100BANCH(東京都渋谷区)
2025.03.07–2025.03.09
BankART KAIKO(横浜市、神奈川)
2025.01.10–2025.01.13
多摩美術大学 八王子キャンパス(八王子市、東京)
2024.10.01–2024.10.06
多摩美術大学 TUB ミッドタウン・タワー5F(港区、東京)
2024.08.10–2024.08.24
相模原市立博物館(相模原、神奈川)
2024.07.13–2024.07.14
多摩美術大学 八王子キャンパス(八王子市、東京)
2024.06.16–2024.07.17
ユニコムプラザさがみはら(相模原、神奈川)
2024.03.08–2024.03.10
北千住BUoY(足立区、東京)
2023.12.16
東京大学駒場第二キャンパス
2023.12.05–2023.12.07
多摩美術大学 多目的研修室22-308/309
2023.12.04–2023.12.24
TUB ミッドタウンデザインハブ
2023.10.14–2023.10.15
東京ビッグサイト
2023.08.01–2023.08.20
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA(東京)
2023.02.24–2023.02.26
アーツ千代田3331(千代田区、東京)
2023.01.12–2023.01.15
多摩美術大学 八王子キャンパス(八王子市、東京)
2022.02.24–2022.03.05
Labcafe(本郷三丁目、東京)
2022.01.29–2022.01.30
相模原市民ギャラリー(相模原、神奈川)
2021.11.16–2021.11.18
多摩美術大学 情報デザイン棟3階
2021.07.17–2021.07.18
多摩美術大学 情報デザイン棟2階206室
Works / Catalogue
WORK 01 / 2023
What if “☆¿※◉♯” mimics me?
Media Installation

2023
モノの側から人間を見たとき、人間はどのような姿に見えるのだろう。
たとえばパソコンにとって、人間との主な接点はキーボードに触れる「指」である。だとすれば、パソコンから見た人間は、全身をもつ存在ではなく、指だけを身体にもつ生き物のように見えるかもしれない。
人間は、動物やモノを人間になぞらえて理解することを「擬人化」と呼ぶ。私はその視点を反転させ、モノの側から人間を捉えることを「擬物化」と名づけた。
本作では、人間を観察する主体を人間からモノへ移すことで、普段自明だと思っている「人間の姿」を組み替えることを試みている。
BACKGROUND / PROCESS / WORK 01
本作は、Covid-19のパンデミックによって自宅で一人で過ごす時間が増えたことをきっかけに始まった。
長い時間を部屋の中で過ごすうちに、パソコンには指で触れ、眼鏡は顔にかけ、ベッドには身体を横たえるというように、自分の身体がモノごとに異なる仕方で接していることを意識するようになった。
一人の人間であっても、どのモノとの関係から見るかによって現れる身体は異なる。そこから、それぞれのモノにとって人間とはどのような存在なのかを想像し始めた。
「パソコン」「アイスクリーム」「パン」「ベッド」「お茶」「眼鏡」「ドライヤー」「照明」「インターホン」「顔ダニ」など、身の回りにあるモノや存在を一つずつ観察した。
パソコンなら「キーボードに触れる指」、ベッドなら「横たわる身体」というように、それぞれが人間と接触する身体部位や、人間が繰り返す動きを抽出する。
そこから、人間の身体をモノごとの知覚や関係に合わせて組み替え、それぞれ異なる形態と運動をもつ彫刻へと変換した。
日常生活の中で、モノと人間がどのように接しているかを観察した。
それぞれについて、人間のどの身体部位と接するのか、どのような動作が繰り返されるのかを抽出し、そこから身体の形態や運動を再構成した。
そのイメージをもとに、Arduino、サーボモーター、ステッピングモーター、不要品などを組み合わせ、複数のキネティック・スカルプチャーとして制作した。
WORK 02 / 2025
Study Work

Study Work
A performance of human birth by the nonhuman
2025
人間の誕生を、人間ではない存在が演じることはできるだろうか。
本作では、光に応答して動くDNA液滴を「演者」として扱い、人間の誕生を上演する。
人間自身が生命や誕生を語るのではなく、生命と非生命の境界にあるような存在へその役割を委ねることで、「生まれる」という出来事を人間の外側から捉えることを試みている。
IMAGES / 2025

Installation view

Installation view

Detail

Detail
BACKGROUND / PROCESS / WORK 02
これまで私は、生命と非生命の境界や、人間以外の存在から人間を見ることに関心を持ってきた。
その中で、「生命の誕生」だけでなく、一つの存在が「個」として生まれるとはどういうことなのかに関心を持つようになった。
そこで、人間が自らの誕生を語るのではなく、非人間が人間の誕生を演じるという構造を考えた。
演者として用いるのは、光刺激に応答して形や位置を変化させるDNA液滴である。
あらかじめ人間が決めた動きを正確に再現させるのではなく、液滴自身が示す運動を観察しながら、その動きを人間の誕生をめぐる演劇へと組み込む。
「演じる主体」が人間でなくなったとき、演劇や物語がどのように変化するのかを検討している。
東京科学大学・瀧ノ上研究室の協力および技術指導のもと、光応答性DNA液滴の挙動を観察し、光刺激と運動の関係を検証している。
現在はスタディとして、液滴の自律的・偶発的な動きと、人間が設定する舞台や物語との関係を探りながら、演劇として成立させるための構成を検討している。
WORK 03 / 2024
BioArt Installation

BioArt Installation
Mermaid's Flesh
2024
日本各地には、人魚の肉を食べたことで老いることなく800年を生きたとされる「八百比丘尼」の伝承が残されている。
そこに描かれる不老不死は、必ずしも祝福ではない。死ぬことができず、大切な人々を見送り続ける孤独や苦しみとして語られてきた。
一方、現代では、細胞培養や再生医療をはじめとする生命科学によって、身体を維持し、老いや死を遠ざけるための研究が進められている。
かつて物語の中で恐れられた「不死」を、人間が自らの技術によって実現しようとするとき、それは何を意味するのだろうか。
私自身は、不死になりたいとは思わない。それでも、もし本当に不死になれるものが目の前にあったとしたら、それを拒むことができるのだろうか。
本作では、伝説の中にしか存在しなかった「人魚の肉」を実際につくろうとすることで、私たちはなぜ生を延ばそうとするのか、その欲望そのものを問い直す。
IMAGES / 2024

Installation view / Photo: Yuki Kobayashi

Installation view / Photo: Yuki Kobayashi

Detail / Photo: Yuki Kobayashi

Detail / Photo: Yuki Kobayashi
BACKGROUND / PROCESS / WORK 03
人魚の肉を食べることで不老不死になるという伝承と、現代生命科学が目指す生命の延長を重ね合わせたことが、本作の出発点となった。
不老不死は古い物語の中だけに存在する空想ではなく、身体や細胞を長く維持しようとする現代の技術にも連続しているのではないか。
そこで、伝説上の存在を生命科学の技術によって再現することを考えた。
「人魚」を単なる人間と魚の形態的な合成としてではなく、細胞と培養環境の組み合わせから生成される存在として考える。
人間の細胞、魚の細胞、それぞれに異なる培養条件を与えることで、人間と魚の境界を操作し、その中間に「人魚」という存在をつくることを試みた。
人間の細胞と魚の細胞を用意し、細胞と血清の組み合わせが異なる3種類の培養条件を設定した。
それぞれの条件を人型・魚型・人魚型の培養容器に対応させ、ゲル状の培地の中で育成する。
完成した物体を展示するのではなく、展示期間中も細胞が生存し、変化し続ける状態そのものを作品として提示した。
WORK 04 / 2024
Video Installation

Video Installation
Luna micro sculpture exhibition “Noah’s Ark”
2024
月面で展覧会を開くとしたら、何を展示し、誰を鑑賞者として考えることができるだろうか。
地球上の展覧会は、ほとんどの場合、人間が見ることを前提としている。しかし月面には、作品を見る人間はいない。
そこで私は、現在の人間ではなく、人類がいなくなった遠い未来に偶然この作品を発見するかもしれない、未知の知性体を鑑賞者として想定した。
本作では、地球に生息するさまざまな動物を直径0.5mmのミクロ彫刻として制作し、それぞれの遺伝情報を内部に封入する。それらを「ノアの方舟」を模した人工衛星で月へ運び、月面に放出する展覧会を構想している。
もし遠い未来に誰かが彫刻を発見したなら、その形とDNAから、かつて地球に多様な生命が存在していたことを想像するかもしれない。
これは、まだ出会ったことのない未来の存在へ向けて、地球生命の痕跡を残すための展覧会である。
IMAGES / 2024

Installation view

Installation view

Detail

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BACKGROUND / PROCESS / WORK 04
実際に月面で展覧会を行う場合、地上と同じ方法をそのまま持ち込むことはできない。月への輸送には重量や大きさなど大きな制約があるため、できる限り小さな彫刻による展示方法を考えた。
同時に、月面には作品を見る人間がいないことから、「誰のために展示するのか」という問いが生まれた。
そこで、現在の人間ではなく、人類がいなくなった未来に作品を発見するかもしれない未知の知性体を鑑賞者として設定した。
地球上に生息する30種類の動物を、直径0.5mmのミクロ彫刻として制作する。各種を雌雄2体ずつ制作し、それぞれの彫刻内部にその動物のDNAを封入する。
これらを「ノアの方舟」を模した人工衛星に搭載して月へ運び、月面上に放出する。
動物の形態と遺伝情報という二つの方法によって、地球に存在した生命の情報を未来へ残すことを試みる。
30種類の動物を雌雄2体ずつ、計60体のミクロ彫刻として設計・制作した。
2024年3月には、JAXA探査イノベーションハブ内の月面環境を模した実験フィールドでコンセプト映像を撮影した。その後、ミクロ彫刻内部へDNAを封入する方法を検討した。
2025年には、ゲル状の彫刻に封入したDNAを再び抽出し、そこから動物種を特定できるかを検証した。
WORK 05 / 2023
Installation Art

Installation Art
Translate the object as seen by the creatures I lived with.
2023
一緒に暮らしてきた生物たちにとって、身の回りのものがどのように見え、どのような意味を持っていたのかを想像し、それぞれの視点から「もの」を翻訳するインスタレーション。
キャベツの食品サンプル、インターホン、水槽、ブロック、シャッター、手紙、メモ帳など、生活の中にある既製品を用いて構成される。
人間と同じ空間で暮らす生物が、同じ「もの」を人間とは異なる意味として認識している可能性から、ものの意味が誰の知覚によって形づくられているのかを考える。
IMAGES / 2023

Installation view / Photo: Hana NAKAMURA

Installation view / Photo: Hana NAKAMURA

Detail / Photo: Hana NAKAMURA

Detail / Photo: Hana NAKAMURA
BACKGROUND / PROCESS / WORK 05
幼いころから多くの生き物と暮らす中で、人間と同じものを見ていても、それぞれの生物は全く異なる意味として認識しているのではないかと考えたことが制作の出発点になっている。
たとえば犬にとってインターホンは、機械そのものではなく「知らない人が来ることを知らせる警報器」なのかもしれない。
一緒に暮らしてきた生物たちにとって、生活空間にある「もの」がどのように見え、どのような意味を持っていたのかを想像し、人間とは異なる意味へ翻訳するインスタレーション。
キャベツの食品サンプル、インターホン、水槽、ブロック、シャッター、手紙、メモ帳などの既製品を選び、それぞれを特定の生物の視点から読み替えた。複数の翻訳を同じ空間に配置し、人間と他生物が共有している生活環境を別の意味の集合として提示した。
WORK 06 / 2023
Etude to become an octopus
Artwork

2023
人間の身体に別の動きや感覚を持ち込むための複数のエチュードとして構成する。完成したタコ像をつくるのではなく、異なる身体へ近づこうとする過程そのものを作品として扱う。
BACKGROUND / PROCESS / WORK 06
人間とは大きく異なる身体を持つタコの知覚や運動を、自分の身体から想像することへの関心から始まった習作。タコを外側から表象するのではなく、「タコになる」ための行為や装置を考える。
人間の身体に別の動きや感覚を持ち込むための複数のエチュードとして構成する。完成したタコ像をつくるのではなく、異なる身体へ近づこうとする過程そのものを作品として扱う。
3Dプリントや彫刻、身体に装着するタイツ、貝、キーボード、タコ壺、粘土、紙など異質な素材や道具を用いて、身体の動きや感覚を変えるための試作を重ねた。
WORK 07 / 2023
My appearance as seen from an octopus
Artwork

2023
「タコから見た人間」を、人間の姿をそのまま再現するのではなく、運動や形態を別のルールに置き換えることで表現する。
BACKGROUND / PROCESS / WORK 07
タコという人間とは異なる身体を持つ存在から、人間の姿がどのように見えるのかを想像する試みとして制作した。
「タコから見た人間」を、人間の姿をそのまま再現するのではなく、運動や形態を別のルールに置き換えることで表現する。
ゴム、モーター、3Dプリント部品、4WDレーンなどを組み合わせ、電子工作と立体制作を通して、人間の身体像を変形させるための装置・運動を試作した。
WORK 08 / 2023
Orbital font
Artwork

2023
3Dの軌道を2Dで見たときにアルファベットのように見える線を抜き出し、AからZまでの文字体系として再構成した「軌道フォント」。視点の変更によって、既知のデータの中から別の形を発見する。
BACKGROUND / PROCESS / WORK 08
太陽・地球・月・人工衛星などの軌道は三次元的に存在しているが、それを二次元の画面へ投影し、見る角度を変えると、思いがけない線の形が現れる。
3Dの軌道を2Dで見たときにアルファベットのように見える線を抜き出し、AからZまでの文字体系として再構成した「軌道フォント」。視点の変更によって、既知のデータの中から別の形を発見する。
軌道芸術研究会で制作された汎用軌道描画ツール「Orbit-Drawer」を用いて軌道データをさまざまな視点・角度から観察し、アルファベットとして読める形を抽出した。抽出した文字を一覧化し、布などの媒体へ展開した。
WORK 09 / 2021
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2021
地球を取り巻くヴァン・アレン帯の形を立体として出力し、「見えないものに守られている」という状態を触れられる形へ置き換える作品。
BACKGROUND / PROCESS / WORK 09
地球の周囲には目には見えない環境や構造が存在し、それらが私たちの生活条件に関わっている。不可視の宇宙環境を身体的に捉える方法を探る中で制作した。
地球を取り巻くヴァン・アレン帯の形を立体として出力し、「見えないものに守られている」という状態を触れられる形へ置き換える作品。
ヴァン・アレン帯の形態をもとに立体データを制作し、3Dプリンターと3D切削機を用いて約20cmの立体として出力した。木材と立体部品を組み合わせ、不可視の宇宙環境を物体として提示した。
WORK 10 / 2022
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2021–22
ヒッパルコス衛星による恒星データを用い、地球と星々の距離を音へ変換する作品。数値としてしか扱えない宇宙の距離を、時間的・聴覚的な経験へ置き換える。
BACKGROUND / PROCESS / WORK 10
宇宙の巨大な距離を、人間の身体感覚で直接理解することは難しい。天文学的な数値を別の感覚へ変換することで、自分たちが宇宙のどこにいるのかを捉え直すことを試みた。
ヒッパルコス衛星による恒星データを用い、地球と星々の距離を音へ変換する作品。数値としてしか扱えない宇宙の距離を、時間的・聴覚的な経験へ置き換える。
ヒッパルコス衛星のデータから恒星と地球の距離情報を扱い、Processingを用いて音へ変換する仕組みを制作した。データの差を聴覚で体験できるようにすることで、宇宙のスケールと現在地の関係を提示した。