人魚の肉
Mermaid's Flesh
Photo by Yuki Kobayashi
2024
Size : 1000×500×2000(mm)
Techniques : DIY bio
《Youtube限定公開_制作過程①》
人魚の肉を細胞培養で再現する試み 細胞培養技術とは、生物の細胞を人工環境下で育成し増殖させる技術であり、再生医療や製薬研究など広範な分野で活用されている技術である。この技術では、以下の条件が必須である。 温度とpHの調整:細胞が生存しやすい温度と酸性度(pH)を維持する管理が必要である。 培養液:糖類、アミノ酸、ビタミンなど、細胞に必要な栄養素を含む液体を使用する。 成長因子:細胞の増殖を促進する血清などの物質を加える。 たとえば、魚の細胞に魚由来の成長因子を加えると魚肉が育ち、人の細胞に人由来の成長因子を加えることで人肉が再現可能となる。この技術を基盤に、神話や伝説に登場する架空の存在である「人魚」の肉を再現する試みを実施している。 展示では、以下の3種類の細胞培養肉がゲル状の培地で育成されている。 人型の容器:人間の細胞を魚の血清で培養したもの。 魚型の容器:魚の細胞を人間の血清で培養したもの。 人魚型の容器:人間と魚の細胞を交互に培養し、人魚の肉を再現したもの。 これらの細胞は展示中にも増殖を続けている。このプロジェクトは、人間と非人間との境界を曖昧にし、その関係性を問い直すことで「人間とは何か」という根本的な問いを提示する試みである。